そこで亮輔は1つ疑問になる。 「どうして女神は梨緒を木材の下敷きにしたんだ?」 その問いに梨緒が一瞬下を向き、亮輔と目線を合わせ 問い正す。 「そもそもこの戦いに疑問を持たなかった?」 疑問?女神が現れ、能力を貰い、、、。 戦いに疑問、、、?戦い…
亮輔の必死の訴えにも梨緒からは何も応答がない。 亮輔がもう一度モニターを確認する。 そこには確かに空を覆い隠す宇宙船。 「、、、。」 「、、、騙されたのか、、、。」 亮輔が落胆する。 「気付かなかったの?」 その梨緒の問い。それにふと感じた違和感…
亮輔が梨緒に連れて来られたのは先程の"銃撃戦"で 亮輔が身を潜めていた2階の部屋。 バズーカの破壊で部屋中は様々な破片、コンクリートと鉄で出来た壁には所々穴が空き、中からはみ出るように折れ曲がった金属が突き出る。 自分がそこに居たとは信じ難いほ…
「梨緒!」 入り口に寄りかかりうつむいたまま梨緒の元に亮輔が駆け寄る。 「梨緒!大丈夫だった?」 「怪我の具合はどう?」 「少しフラつくの?」 興奮から雪崩のように溢れる言葉。 「、、、。」 しかし梨緒からの返答は一切ない。 うつむいた前髪に隠れ…
あたりはやけに静かに静まり返っていた。 シューッという蒸気の音、ジーッという電気の流れる音も 耳に入らないくらい謙虚に聞こえる。 それは終幕を感じさせた。 レースから始まり、障害物競争→ボーリング→バドミントン→野球。 徐々に感情がむき出しになり…
あなたはどこまで先が読めましたか? 残り4章
ガラガラ、、、 一気に雰囲気の変貌した部屋。その一角。 いつのまにか爆風で吹き飛ばされた身体に覆い隠すかのように乗っかった瓦礫を払いのけ 立ち込める煙でゴホゴホと咽せながら ムクッと身体を上げる亮輔。 辺りは白く濁り視界が殆どない。 ただ分かる…
時は少し遡る。 走りながら発砲した亮輔は 偶然当たった足場が崩れたのに気を取られマシンガンを連射している祐介に気付く。 その隙を突き 祐介の横にある何かのタンクから出ているパイプに狙いを定める。 あえてパイプを撃ち抜いたのは タンクから出ていれ…
1分経っただろうか?2分経っただろうか? 入り口に照準を合わせて、ずっと集中している亮輔にとって、1分、1秒がいつもより長い。 しかし、この集中を切らした瞬間、 おそらく祐介に形勢をもっていかれる。 一発でも貰ったら、即、死に繋がる恐怖。 このまま…
「チッ!」 亮輔に逃げられ 銃を無造作に連射し 何度も何度も扉に打ち付けると 悔しさで祐介は舌打ちする。 そこには今までの亮輔に対する友人のような感情はない。 なぜならまだ自分は鬱憤が晴れていない。 この鬱憤は動けなくなるようにしてらやんと気が済…
オレンジ色の白熱灯が施設を薄暗く照らす。そこはまるでハリウッド映画のような、ターミネーターの劇中に入り込んでしまったかのようなすぐにアクション映画が始まりそうなそんな光景。「廃工場か?」鉄筋に隠れつつ辺りの状況を探る亮輔。人気もなく、機材…
祐介の右肩のシャツに血が滲む。 「、、、。」 その血をそっと左手で拭う。 「、、、。」 掌には一面に赤い血。 手についた赤い血を眺め プランと竹刀を落とし力の入らない右腕を見ながら 右腕から感じる痛みを実感し 祐介は溢れ出す感情を吐き出すように言…
《『野球→打つ』から『うつ』→『ボクシング』》亮輔の両方の拳には赤いグローブが握られている。 そしてそのまま馬乗りになった祐介へ 「事故じゃない!」 上げた拳を思い切り振り下ろし顔面を強打! 「事故じゃない!事故じゃない!」 そのまま、何度も何度…
キーン! 空高く打ち上がったホームランの打球、、、。 「キャ〜〜〜!!」 叫び声、、、。 山積みの木材の木材と、、、 突き出る梨緒の腕、、、。 ジワリと滲んだ赤い血、、、。つい先程、 ものの5分程前の出来事が 悪夢のように何度もフラッシュバックし …
グラウンドから土手を上り、南館と北館の真ん中を 渡り廊下が繋ぐ"H型"をした校舎。 その南館と北館のの間に球は飛んでいった。 その記憶をもとに南館の校舎の角まで差し掛かる。「〜〜〜!!」 「、、、お二人とも!!」 そこへ空を先に状況を確認しに飛ん…
球は再びど真ん中に真っ直ぐ飛んでくる。 祐介はクイッとバットを上げ、ギュッと脇を締める。 飛んでくる球はストレートより少し遅め。 と、言う事は、 「変化球!」「"フォーク"か"シュート"か。」 「お前には2種類の変化球を見せたよな。」 「どっちが来る…
1ストライク3ボール。 しかしルール上、 「1ストライク、ノーボールか。」 ボールは何回取ってもファーボールにならない。しかし、ストライクが取れなきゃ意味がない。 亮輔は取れなかったストライクに悔しさを滲ませ、 もう一度計画を練る。 「今回の事で分…
際どいボールではあった。 しかし、この判定に、 「よく見ていたな。」 亮輔もすぐさま納得。 亮輔自身がストライクゾーンからギリギリ外れるように 狙って投げていた。 球威がそこまでない分、コントロールには自信があった。足を下ろし、力を抜き構えを解…
右足でまるでフラミンゴのように立ち、 じっと球の軌道を見つめる祐介。 胸元あたりの高さ、 ストライクゾーンでいうとど真ん中高めあたりに向け 球は飛んでくる。 そのまま手元まで引きつけ、 「ここだ!」というタイミングで上げた左足を重心と共に 前へ出…
ゴロゴロ、、、、。分厚い雲の中、雷鳴が轟いている。先程まで居た屋内とは一転、今にも降り出しそうな生憎の曇り空の下。ミーン、ミーン、、、校舎の脇にある1本の木にはアブラゼミが身体を小刻みに動かしながら軽快に声を奏でる。気づくと2人は泉姫中学の…
「いつもいつも!俺の手柄を横取りしやがって!!」スパーン!力強くコートの奥に向けシャトルを打つ亮輔。 タンタンタン、、、。祐介のコート"円"の右上へ向け飛ぶシャトル。それをリズムよく小刻みにジャンプを刻み、ジャンプの沈んだ反動を利用して跳ねる…
「!!」 祐介の攻撃的な発言に驚きのあまり、 自分がサーブ権にも関わらず身構える亮輔。「、、、、!!」 女神も何も言えず両者を交互に見つめる。「、、、、。」 静まり返った体育館。 ターン! そこに響き渡る音。 ターン、ターン、 その音は少しずつ間…
「さあ、次だ!」 亮輔の高く上がったサーブはサービスコートの奥深くに狙いを定めて落下する。 その打球の行方の真下に素早く回り込んだ祐介が身体全体を使って、 「フン!」 腕を思い切り振り、打ち返す。 ブン!という風斬り音と共にトーン!とコルクの音…
「確かにあの時の祐介は強かった。」 亮輔がサーブラインに立ち、 「バドミントンを選んだのは祐介の勝利への確信からだろう。」 静かにシャトルを胸の高さから空に落とし、手首を返すようにシャトルを打った。 「俺だって、あれからバドミントンをしなかっ…
亮輔は思い返していた。「始めの"レース"、、、。俺は得意な種目で挑み。序盤からリード。俺の走りは完璧だった。しかし、結果は祐介の勝利。2戦目の"障害物競争"。考えていた"競争"とは少しズレてしまったが条件としては五分。むしろ、走る事に関しては有利…
スペアー、ストライクで7フレーム目に61と表示され尚も8フレーム目が謎に包まれる祐介のスコア。 少し焦る亮輔だがスコアを見て冷静さを取り戻す。 「そうだ!こいつはまだスコア61だった。」 追いつけるはずがない。 こいつはこういう奴だった。 そう言い聞…
祐介の投げた球は狙い通り、1番と3番を射抜く亮輔が目の前でストライクを取った理想的な形。 しかし、まだ力が強かった。 残ってしまった7番と、10番のピン。 祐介が残りのピンを確認しようとテレビの画面をみると、 チカチカ光る画面には"スプリット"の文字…
依然、お互い無言のまますれ違い、2フレーム目のレーンへ向かう祐介。球に指を突っ込むと腰を曲げたまま再びピンを睨みつける。薬指と中指、2本だけ球に指を入れ、抱えるように球を持ち1歩、2歩と進むと共に、「ガーー!」手首を思い切り返して投げた。祐介…
「では、今回は、競技を選んだ亮輔選手が先攻という形で進めさせて頂きます。」その言葉を合図に亮輔はエアーでブイーンと指先を乾かし ボールを手にし、祐介はすぐ後ろに設けられた椅子にドカッと腰掛け、 両腕を組み、眉間にシワを寄せ、不服そうにレーン…
(第3戦) 亮輔ターン 連想ワード「競争」 「競争」→「レーン」=「ボーリング」 「ボーリング」 1ゲーム10フレームのスコアの合計を 競う。茶色の木目の綺麗な、ワックスで磨かれた床。 10レーン以上ある普段は賑やかに人がいるであろう店内は ゲーム機など…