2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧
あたりはやけに静かに静まり返っていた。 シューッという蒸気の音、ジーッという電気の流れる音も 耳に入らないくらい謙虚に聞こえる。 それは終幕を感じさせた。 レースから始まり、障害物競争→ボーリング→バドミントン→野球。 徐々に感情がむき出しになり…
あなたはどこまで先が読めましたか? 残り4章
ガラガラ、、、 一気に雰囲気の変貌した部屋。その一角。 いつのまにか爆風で吹き飛ばされた身体に覆い隠すかのように乗っかった瓦礫を払いのけ 立ち込める煙でゴホゴホと咽せながら ムクッと身体を上げる亮輔。 辺りは白く濁り視界が殆どない。 ただ分かる…
時は少し遡る。 走りながら発砲した亮輔は 偶然当たった足場が崩れたのに気を取られマシンガンを連射している祐介に気付く。 その隙を突き 祐介の横にある何かのタンクから出ているパイプに狙いを定める。 あえてパイプを撃ち抜いたのは タンクから出ていれ…
1分経っただろうか?2分経っただろうか? 入り口に照準を合わせて、ずっと集中している亮輔にとって、1分、1秒がいつもより長い。 しかし、この集中を切らした瞬間、 おそらく祐介に形勢をもっていかれる。 一発でも貰ったら、即、死に繋がる恐怖。 このまま…
「チッ!」 亮輔に逃げられ 銃を無造作に連射し 何度も何度も扉に打ち付けると 悔しさで祐介は舌打ちする。 そこには今までの亮輔に対する友人のような感情はない。 なぜならまだ自分は鬱憤が晴れていない。 この鬱憤は動けなくなるようにしてらやんと気が済…
オレンジ色の白熱灯が施設を薄暗く照らす。そこはまるでハリウッド映画のような、ターミネーターの劇中に入り込んでしまったかのようなすぐにアクション映画が始まりそうなそんな光景。「廃工場か?」鉄筋に隠れつつ辺りの状況を探る亮輔。人気もなく、機材…
祐介の右肩のシャツに血が滲む。 「、、、。」 その血をそっと左手で拭う。 「、、、。」 掌には一面に赤い血。 手についた赤い血を眺め プランと竹刀を落とし力の入らない右腕を見ながら 右腕から感じる痛みを実感し 祐介は溢れ出す感情を吐き出すように言…
《『野球→打つ』から『うつ』→『ボクシング』》亮輔の両方の拳には赤いグローブが握られている。 そしてそのまま馬乗りになった祐介へ 「事故じゃない!」 上げた拳を思い切り振り下ろし顔面を強打! 「事故じゃない!事故じゃない!」 そのまま、何度も何度…
キーン! 空高く打ち上がったホームランの打球、、、。 「キャ〜〜〜!!」 叫び声、、、。 山積みの木材の木材と、、、 突き出る梨緒の腕、、、。 ジワリと滲んだ赤い血、、、。つい先程、 ものの5分程前の出来事が 悪夢のように何度もフラッシュバックし …
グラウンドから土手を上り、南館と北館の真ん中を 渡り廊下が繋ぐ"H型"をした校舎。 その南館と北館のの間に球は飛んでいった。 その記憶をもとに南館の校舎の角まで差し掛かる。「〜〜〜!!」 「、、、お二人とも!!」 そこへ空を先に状況を確認しに飛ん…
球は再びど真ん中に真っ直ぐ飛んでくる。 祐介はクイッとバットを上げ、ギュッと脇を締める。 飛んでくる球はストレートより少し遅め。 と、言う事は、 「変化球!」「"フォーク"か"シュート"か。」 「お前には2種類の変化球を見せたよな。」 「どっちが来る…
1ストライク3ボール。 しかしルール上、 「1ストライク、ノーボールか。」 ボールは何回取ってもファーボールにならない。しかし、ストライクが取れなきゃ意味がない。 亮輔は取れなかったストライクに悔しさを滲ませ、 もう一度計画を練る。 「今回の事で分…
際どいボールではあった。 しかし、この判定に、 「よく見ていたな。」 亮輔もすぐさま納得。 亮輔自身がストライクゾーンからギリギリ外れるように 狙って投げていた。 球威がそこまでない分、コントロールには自信があった。足を下ろし、力を抜き構えを解…
右足でまるでフラミンゴのように立ち、 じっと球の軌道を見つめる祐介。 胸元あたりの高さ、 ストライクゾーンでいうとど真ん中高めあたりに向け 球は飛んでくる。 そのまま手元まで引きつけ、 「ここだ!」というタイミングで上げた左足を重心と共に 前へ出…