2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

トライアングル【第6章】矛と盾①

ゴロゴロ、、、、。分厚い雲の中、雷鳴が轟いている。先程まで居た屋内とは一転、今にも降り出しそうな生憎の曇り空の下。ミーン、ミーン、、、校舎の脇にある1本の木にはアブラゼミが身体を小刻みに動かしながら軽快に声を奏でる。気づくと2人は泉姫中学の…

トライアングル【第5章】蟷螂之斧(トウロウノオノ)⑤

「いつもいつも!俺の手柄を横取りしやがって!!」スパーン!力強くコートの奥に向けシャトルを打つ亮輔。 タンタンタン、、、。祐介のコート"円"の右上へ向け飛ぶシャトル。それをリズムよく小刻みにジャンプを刻み、ジャンプの沈んだ反動を利用して跳ねる…

トライアングル【第5章】蟷螂之斧(トウロウノオノ)④

「!!」 祐介の攻撃的な発言に驚きのあまり、 自分がサーブ権にも関わらず身構える亮輔。「、、、、!!」 女神も何も言えず両者を交互に見つめる。「、、、、。」 静まり返った体育館。 ターン! そこに響き渡る音。 ターン、ターン、 その音は少しずつ間…

トライアングル【第5章】蟷螂之斧(トウロウノオノ)③

「さあ、次だ!」 亮輔の高く上がったサーブはサービスコートの奥深くに狙いを定めて落下する。 その打球の行方の真下に素早く回り込んだ祐介が身体全体を使って、 「フン!」 腕を思い切り振り、打ち返す。 ブン!という風斬り音と共にトーン!とコルクの音…

トライアングル【第5章】蟷螂之斧(トウロウノオノ)②

「確かにあの時の祐介は強かった。」 亮輔がサーブラインに立ち、 「バドミントンを選んだのは祐介の勝利への確信からだろう。」 静かにシャトルを胸の高さから空に落とし、手首を返すようにシャトルを打った。 「俺だって、あれからバドミントンをしなかっ…

トライアングル【第5章】蟷螂之斧(トウロウノオノ)①

亮輔は思い返していた。「始めの"レース"、、、。俺は得意な種目で挑み。序盤からリード。俺の走りは完璧だった。しかし、結果は祐介の勝利。2戦目の"障害物競争"。考えていた"競争"とは少しズレてしまったが条件としては五分。むしろ、走る事に関しては有利…

トライアングル【第4章】白い悪魔⑤

スペアー、ストライクで7フレーム目に61と表示され尚も8フレーム目が謎に包まれる祐介のスコア。 少し焦る亮輔だがスコアを見て冷静さを取り戻す。 「そうだ!こいつはまだスコア61だった。」 追いつけるはずがない。 こいつはこういう奴だった。 そう言い聞…

トライアングル【第4章】白い悪魔④

祐介の投げた球は狙い通り、1番と3番を射抜く亮輔が目の前でストライクを取った理想的な形。 しかし、まだ力が強かった。 残ってしまった7番と、10番のピン。 祐介が残りのピンを確認しようとテレビの画面をみると、 チカチカ光る画面には"スプリット"の文字…

トライアングル【第4章】白い悪魔③

依然、お互い無言のまますれ違い、2フレーム目のレーンへ向かう祐介。球に指を突っ込むと腰を曲げたまま再びピンを睨みつける。薬指と中指、2本だけ球に指を入れ、抱えるように球を持ち1歩、2歩と進むと共に、「ガーー!」手首を思い切り返して投げた。祐介…

トライアングル【第4章】白い悪魔②

「では、今回は、競技を選んだ亮輔選手が先攻という形で進めさせて頂きます。」その言葉を合図に亮輔はエアーでブイーンと指先を乾かし ボールを手にし、祐介はすぐ後ろに設けられた椅子にドカッと腰掛け、 両腕を組み、眉間にシワを寄せ、不服そうにレーン…

トライアングル【第4章】白い悪魔①

(第3戦) 亮輔ターン 連想ワード「競争」 「競争」→「レーン」=「ボーリング」 「ボーリング」 1ゲーム10フレームのスコアの合計を 競う。茶色の木目の綺麗な、ワックスで磨かれた床。 10レーン以上ある普段は賑やかに人がいるであろう店内は ゲーム機など…

トライアングル【第3章】白熱(はくねつ)⑤

まるでサーカスのような、体操選手のような、 非効率でしかし無駄のない祐介の"跳び箱"に 「祐介らしいな。」 と、冷静に分析する亮輔。 実際は祐介の非常識的な行動に心は穏やかではない。 しかしなんと言っても次は最後の"網"。 焦っている心を隠すかのよ…

トライアングル【第3章】白熱(はくねつ)④

サーッ! 先にカーテンを開けたのは亮輔。 白のフリルのついたミニスカートをはき、上はカラフルでPOPな文字で彩られた黒のTシャツ。 筋肉質な足に不釣り合いなニーハイを履き、足元は茶色のファーの付いたブーツ。 頭には茶髪のギャル風なカツラ。 顔は、ア…