トライアングル【最終章】連想(ツラナルオモイ)⑤


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そして梨緒は亡くなった、、、。
完璧に故意ではない事故、、、。
誰が責められるわけでもない、、、。
しかし2人は自分を責めた。

その数日後、、、2人は同じ夢を見た。
それは女神を倒す夢。
あの時、女神と出会い、能力を与えられ、
お互い傷付け合い、それが女神の陰謀だと知り、
女神を倒しに行く。
全ては夢の出来事。
それは梨緒からのメッセージだったんだろう。
思えば
4年生のバドミントンの時も、
3年生のボーリングの時も、
2年生の競争の時も、
1年生のレースゲームの時も、
梨緒は亮輔と祐介の事ばかり思っていた。
2人の事ばかり考えて行動していた。


2人は黒縁の梨緒の写真の前で泣きじゃくる。
亮輔は目を覆い隠し、崩れ落ち声をあげながら、、、。
祐介は仁王立ちで突っ立ったまま、上を向いて大粒の涙を
頬に伝えながら、、、。


どうして気付かなかったんだろう。
梨緒の行動に、、、。
どうして気付かなかったんだろう。
梨緒の想いに、、、。
「、、、すまんな梨緒、、、すまん、、、。」
祐介が言葉にならずただ謝る。
「、、、俺たち、自分の事ばかり考えてた、、、
それなのに、、、お前は、、、。」
亮輔達は気付く。
梨緒の願い、、、それは出逢った頃まで遡る。



幼稚園時代、、、。
「は〜〜い。じゃあみんな!今日はみんなの夢を聞いちゃきましょう。」

幼稚園の先生がみんなの前で発表会。
その手には青いドレスの色白のかわいい人形が握られていた。
「『妾は女神。あなたたちの願いを叶えてあげましょう。』」

先生が得意げに声色を変えて人形を操る。
「よし!じゃあ先頭から!」
先生の声に戻り、女神の手を使って指を指す。
「亮輔くん!」

幼いおかっぱのいかにも真面目そうな亮輔が答える。
「はい!」
「ぼくのゆめは『めいたんていコナン』みたいな
めいたんていです!」

うん!よろしい!というように先生は頷く。
「はいはい!せんせー!!」
次の祐介が先生の答えも待たずに手を挙げる。
「はい!じゃあ祐介くん!」

丸坊主のいかにもヤンチャそうな祐介が勢いよく
立ち上がり答える。
「わしのゆめは『ルフィ』みたいな、つよいかいぞくおうじゃ〜〜!!」
その元気のいい答えに、おお!と先生は圧倒されながら。
「いいね。2人ともいい夢だね。」
褒められ喜ぶ2人。

その横で二つ縛りの髪の梨緒がモジモジしている。
「あ、じゃあ次、梨緒ちゃんだね。」
「う〜〜んと、、、」
ちょっと恥ずかしそうに焦らす梨緒に
先生はピンときた。

乙女のカンで先に聞く。
「あ!梨緒ちゃんは、さては好きな人と結婚だな〜〜。」
もともと先生は3人が仲がいいのは知っていた。
どちらかの事が好きなんだろう。
そう考えていた。
しかし、梨緒の答えはもっと純粋な事だった。
「ううん、、、わたしのねがいはね、、、。」
梨緒が女神の夢に掛けた想い。
2人に思い出して貰いたかった事。
それは、、、。
梨緒は猫のようなかわいい
満面の笑顔で答えた。
「さんにん、、、ずっとなかよく!」