トライアングル【第11章】盤石(ばんじやく)⑤−1


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「貴〜様〜ら〜!!よくもやってくれたな〜〜!!」
平穏を切り裂くようにドスの効いた声がどこからかこだます。

2人はその聞き覚えのある声にムクッと身体をあげ、
「まさか!」とキョロキョロ辺りを見渡す。
どこから聞こえたのか!?広いグラウンドのどこにも人の気配はない。
地面には母船の影が映るだけで、、、
いや、母船はもうないはず!これは光に当たった大きな人影だ!
「!!」
2人は同時にゆっくり空を見上げる。
何もない青空が広がっていた、はずの空。
そこには青いドレス。
大きな青い瞳。透き通るような白い肌。
そう。女神だ!

その光を浴びた出で立ちは、
初めて見たときのように美しく、しかし、ドレスや肌には少し焦げた跡。
更に美しく華奢な出で立ちにそぐわない
不釣り合いに光る黒い影が、、、それは、、、
右肩にバズーカ。右肩から掛けて持っているのは機関銃。

「ヤバい!!」
2人は這い上がるように土手を両手両足で必死に上る。

「八つ裂きにしてくれる!!」
女神が機関銃を
ドドドドドド!と連発する。
 

チュンチュンチュン!と音を立てながら
2人の周りの土手の土や草が跳ね上がる。
土手を上がり頭を抱えながら逃げる2人。

「逃さん!!」
そこへ今度はドカーン! 
バズーカをお見舞いする。

「うわ〜〜〜〜!」
なんとか直撃は避けたものの前のめりに吹き飛ばされる2人。
ズサーっ!と地面を擦るように叩きつけられる亮輔。
勢いでゴロゴロと玉ころがしのように転がる祐介。
2人ともにダメージを食らいながらも
それでも必死に立ち上がる。
「やべ〜!とりあえずこんな見通しのいい所にいても恰好の的だ。姿を隠せる所まで行くぞ!」

亮輔が走り出しながら指を指す。
その指す先には校舎の箸にある"部室棟"。
それについて行くように祐介が走って横に並ぶ。
「亮輔!ここまで計算のうちか!?なんか考えはあるんか!?」
「、、、。」
亮輔は一瞬考えるも何も浮かばず。
「こんなん計算出来るか!!想定外だ!!」
とりあえず走るしかなかった。
バズーカに機関銃。
しかもこちらは無防備。能力もない。
そんな相手にどうやったって勝てるわけがない。

「とにかく逃げるぞ!」

巻き上がる煙から猛ダッシュで逃げる亮輔たちを女神が見つける。
まだ生きている。
「まだまだまだまだ!」
そこへ目がけて機関銃をドドドドドド!
さらに追い打ちをかけるようにバズーカをドカーン!

「、、、。」
女神が少し高く飛び上がり上空から状態を確認する。
煙は2人の姿を隠す。
女神はしっかりと目を凝らし安否を確認する。
このままがむしゃらに打ち続けてもいい。
しかし、それでは気が済まない。

ストレス解消なんて生ぬるい。
なにより逃げられてからの反撃。それでやられた仲間。
武器も能力も持っていない相手ですら
万に一つの可能性すら潰える。
確実に殺る。
女神の怒りのボルテージはマックスだ。

ブッとその煙から小さな2つの影が抜け出てくる。
「チッ!」
生きていたか。と、すぐにその姿を追い
機関銃を連発しながらスーパーマンのように頭を先にし
降下する。

ドドドドドド!
機関銃が降り注ぐ。
頭を隠しながらチラッと後ろの機関銃が降る方を見上げると
女神が銃を連打しながらミサイルのように真っ直ぐこちらに飛んで来ているのが見える。
「やばいぞ!思いっきり来とる!!」
焦り、全力で逃げる祐介。
"部室棟"はもう目の前。
「分かってる!とにかくあそこまで走れ!!」
亮輔も全力で走る。

女神が真っ直ぐ飛びながらミサイルの照準をしっかり合わせる。
2人の姿が照準に入る。
グッ!と引き金を引こうとした。
その時!2人はタイミングよく散り散りに逃げて行った。
「くそ!運のいいやつらじゃ!」