トライアングル【第10章】起死回生③-2


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「お!?何か散りだしたぞ!」
母船の下に群がるように固まっていた宇宙船達が散り散りに逃げるように母船の下から離れていく。
母船のボディーはがら空き。
たまらず逃げたのか?何か作戦でもあるのか?
しかし、どんな策を練られていようとも亮輔達には
考えている程、余裕は無かった。
散っていった宇宙船を追っていっても仕方ない。
何にしても目的は女神を倒す事。
この母船を落とす事。
それであればこのボディーががら空きの今こそ好機!
「祐介!行くぞ!」
どんな作戦で来るのか?逃げただけならそれで良し。
母船の下の陰にゆっくり入り込む亮輔たち。
周りを警戒しつつ、母船を詮索する。
「俺たちは無敵モードだ。しかしこの大きな母船を撃ち落とすにはどうやっても火力が足りなすぎる。」
亮輔たちの戦闘機は女神の母船と比べると米粒ほどに小さい。

そんな歴然とした差で攻撃した所でダメージはたかが知れているだろう。
もし、無敵モードで復活して攻撃を続けても明らかに撃ち落とすまでの時間は足りない。
さらにこういう戦闘の要になる母線というのは大概
撃ち落とされないように他より装甲が厚くなっているもんだ。
「そこで探らなければいけないのが相手の弱点。」
しかし、それでも宇宙船の出入りやミサイルの発射口など
は基本、船内と繋がっているはず。
亮輔はそれを探していた。
亮輔はこう考える。
「時間の許す限りまず相手の宇宙船を破壊しながらその出入り口やミサイル口を探す。」
「それでも見つからなかった場合、最悪、街を破壊しようとする際は必ず攻撃を仕掛けてくるはずだ。そこを攻撃する。
」 
「しかし、それでも母船を落とせなかった場合。町はなくなる、、、。ギリギリを狙うだけリスクは高い。」
「それまでには何とか他の方法を探し出したい。」
急にシリアスになり静まり返る機内。
母船の下を舐めるように2人で見上げる。
スポットライトのような白い丸い光。
所々血管のように走る赤い電飾。
鉄のような鉛のような色の外見。
丸い大きな円盤の下は、SF映画さながらの近未来空間が
広がっている。
明らかに地球より進んだ技術。圧倒的なスケール。
見ているだけでつい息を飲んでしまい、「こんなのに本当に勝てるのか?」
と、弱気にさえなってしまいそうだ。

不安に駆られているとその不安を煽るように
ピピッ!という音が機内を走る。

「!!」
あまりのスケールの大きさに圧倒されていた。
気付けばレーダーの亮輔たちの射程の少し離れた外に、1機敵機が近づいてきている。
すぐにレーダーの印が示す位置を肉眼で目視で確認する。
そこには確かに敵機。しかも堂々と1機のみ。
しかし、先ほどまでの宇宙船とは色も形も違う。
纏う雰囲気は只者ではない。

明らかに存在感が違う。
「中ボスのお出ましってとこかの〜。」
祐介はトリガーをしっかりと握り照準を敵機に合わせる。
「どうやらあいつを倒さないと進めないらしいな。」
亮輔も操縦桿をギュッと握る。

戦闘機のスピードはグッと減速させ、ゆっくりと間合いを測りながら相手の出方を伺う。
まだ相手は静止したまま動かない。
おそらく相手もこちらの動きを探っているに違いない。
操縦桿を握る亮輔の掌には緊張でうっすらと汗が浮かぶ。
チラッとレーダーを見る。
もうすぐこちらの間合いに奴が入る。
相手の間合いがどこまでか分からない。
いつ攻撃が始まるかの緊張感。

祐介もいつでもイケるように機銃のトリガーを常に握る。
目視、レーダーに目を凝らす。
レーダーの敵機の点滅が三重丸で示す円の一番外側の射程に入った。
その瞬間!
「いくぞ〜〜〜!」
最初に仕掛けたのは亮輔達。

操縦桿を前に押し、一気に加速。
「くらえや〜〜!!」
同時に祐介も機関銃をグッとお見舞いした。
ドドドドドド!
機関銃の球を連続で発射し続けながら加速する戦闘機。

それに気付いたのか相手の宇宙船も全力で緑のレーザーを打ち込んでくる。

両者とも濃密な攻撃が相手を襲う。
弾が当たるギリギリまでお互い真正面から攻撃を打ち続ける。
我慢比べのような攻防。

ギリギリまで相手が動くのを待つ。
当たる!当たらない!
「!!」
我慢し切れず亮輔が操縦桿を大きく左へ切った。

「!!」
それとほぼ同時に宇宙人も大きく舵を切った。
交錯するようにスレスレで両者が空中ですれ違う。

「〜〜!!」
亮輔たちの戦闘機に特に異変はない。

「〜〜!!」
宇宙人の機体の羽に、少し弾が当たったのか
小さな1つの穴からピリピリ電気が飛び出る。

「〜〜くそ!!」
亮輔はすでに勝敗が分かっていた。
ドカーーン!
大きな爆炎を上げて散ったのは亮輔達の戦闘機の方。

その勝敗を決したのは、、、。

ドドドドドド、、、
亮輔たちの弾丸が宇宙人の機体を襲う。
ピーピーピー
宇宙人の光線が亮輔たちの戦闘機を襲う。
当たる!当たらない!
お互いがお互いの動きを探っていた。
そして、、、
「!!」
相手が動いた瞬間、同時に操縦桿を切った。
その差が出たのは、、、
お互いの弾が当たる瞬間、、、。
亮輔達の戦闘機は弾に向かい進行方向に進み続け、
宇宙人の機体はその場から真横に避けられた。
機体の性能の差。

地球の飛行機は基本、エンジンの爆発による推進力で
飛んでいる。
その為、真横にへの旋回が不可能である。
しかし、宇宙人の機体ではヘリコプターのように浮いている為、その場で旋回して移動する事が可能な為、
回避能力が断然に優れていた。
「回避能力はあちかが上手か、、、」
亮輔が考え込む。