トライアングル【最終章】連想(ツラナルオモイ)③


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三嶋家に入るとそこにはあの
"得意げに笑う梨緒のかわいい笑顔"、、、
の写真。
それは黒縁の枠に包まれてている。

亮輔が部室に寄ったのは"現実を確認したかったからだった。
これが現実。
梨緒はもうこの世にはいない。

きっかけはあの日、、、。
この物語の冒頭。

キーン!
バットの軽快音と共に空高く飛び上がった球。
ーーーいつもの日常にそれは突然訪れたーーー
「キャ〜〜〜!」
飛び上がった先に起こった叫び声。
ーーーそこに行くと現れたのは悲惨な光景だっーーー
木工室の木材に潰される梨緒。
それは事故だった。
野球部の練習中。
亮輔が投げた球を、、、祐介が打ち、、、
偶然立て掛けてあった木材に当たった、、、
その下に偶然居た梨緒は下敷きに、、、。

非情な現実を目の当たりにする。
「梨緒が、、、梨緒が、、、。」

梨緒はどうなってしまったのか?
無事でいて欲しい。
不安。
そして、、、
何で梨緒がこんな目に?
疑念
どうしてこうなってしまったのか?
憤り

いろんなグチャグチャな想いが交錯する。
そんな時目に入ってしまったのは、
木材の横に転がる野球の球。
「やっぱり、、、俺達が、、、梨緒を、、、」
完璧にすべてが結び付いてしまった。
やり場のない不安。
どこにも向けられない怒り。
それが
その球を見ると、どうしても我慢できずにこぼれてしまった。

「、、、お前が悪い、、、。」
ボソッと亮輔が力なく小さく呟く。

「、、、あ!?」
なんとなく聞こえた小言に祐介が反応してしまう。

その態度に火がついたように亮輔が祐介に飛びつく!
「お前が!お前が!」
胸ぐらを掴んで祐介の身体を思い切り前後に揺らす。
「お前の打った球で、、、梨緒が、、、!!」
泣きそうなクシャクシャな顔で。

ドン!
無抵抗に身体を振らされていた祐介が
眉間にシワを寄せ、怒りを顕に亮輔を突き飛ばす!
「ふざけんな!あんなもん事故やないか!!」

直立で頭を斜めに傾け顎を突き出し
挑発するかのようにガンを飛ばす。

「〜〜〜!!」
言い捨てた祐介の言葉に
倒れ込んだまま首を左右に大きく
その言葉を振り払うように何度も振る亮輔。
「、、、事故、、、」
そんな言葉で解決して欲しくない。
出来るはずがない!

「うわ〜〜〜!!」
直立している祐介を押し倒し、馬乗りになった。
だって、、、
俺らのせいで、、、

『おい!お前ら!喧嘩はよせ!!』
組み合っている亮輔達を周りの部員が必死に引き剥がした。

その後、すぐ駆けつけた救急車で梨緒は運ばれた、、、。